頭の形外来について
About Head shape Clinic
当院では、赤ちゃんの頭の形(斜頭症、短頭症、長頭症など)のゆがみや変形を専門的に診る頭のかたち外来を行っています。 この外来では、いわゆる「絶壁(短頭症)」や向き癖などで頭の形が高度に変形した(斜頭症)お子さまに対して、ヘルメット療法を中心に、必要に応じて理学療法なども組み合わせながら、頭の形の改善を目指します。 ヘルメット療法を希望されるかどうかにかかわらず、まずはお子さまの頭の形に関するお悩みをご相談ください。そのうえで、医師の判断により治療が適応となる場合には、ヘルメット療法を選択肢のひとつとしてご提案いたします。

頭の変形の種類
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仰向け寝の時間が長い赤ちゃんによく見られます。よく絶壁と表現されます。頭の前後の長さが通常より短いのが特徴です。
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NICUで数ヶ月過ごした赤ちゃんに見られるといわれています。保育器内で横向きの姿勢をとることが多いからといわれています。
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向きぐせや斜頸のある赤ちゃんによく見られます。頭頂からみると、平行四辺形に見えることがあります。耳の左右差があることがあります。
頭の形がゆがむ原因
Cause
頭の歪みの原因には、病的原因と病気ではない外力による変形の2つに大別されます。
- 病的要因縫合線が早期に癒合してしまう「頭蓋骨縫合早期癒合症」
- 外力寝ぐせ、子宮内や産道を通るときの圧迫など「位置的頭蓋変形症」
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頭蓋骨縫合早期癒合症とは
赤ちゃんの脳は生後半年までに出生時の2倍、2歳までに大人の90%の大きさになるといわれています。急速な脳の成長に対応できるよう赤ちゃんの頭蓋骨は7つの骨のピースに分かれており、その骨と骨の繋ぎ目の部分を縫合線と呼びます。縫合線が通常よりも早期に癒合してしまうと、頭蓋骨の拡大が起きずに、頭が歪んだ形になります。これを「頭蓋骨縫合早期癒合症」といいます。 治療には、適切な時期に手術が必要と考えられています。
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位置的頭蓋変形症とは
基本的には、寝ぐせによる原因がほとんどですが、子宮内やお産時に頭が変形してしまったりしまうこともあります。 頭を常に同じ位置に向けて寝ることで、接地面の成長が抑えられ、接地面以外が大きく成長し、斜頭や短頭、長頭といった頭蓋変形がおきます。 斜頸を発症している場合は、頭を別の位置に向けることが困難なため、発症しやすいです。
※頭蓋骨縫合早期癒合症は、出生児のうち0.04〜0.1%の割合で起こるといわれています。
治療が必要な場合
If you need treatment
基本的に、脳の成長や精神発達に影響を与えることはないといわれております。
軽度の歪みは自然治癒することもありますが、以下のような場合は治療が推奨されます。
- 歪みが顕著で、見た目や整容面での影響が大きい
- 歪みが原因で、眼鏡の装着や噛み合わせに支障が出る可能性がある
- 成長しても歪みが改善されない場合
自然治癒が難しい重度の症例ではヘルメット治療が有効とされています 。
治療方法
Treatment method
治療方法は、理学療法とヘルメット治療の2つになります。
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理学療法
具体的には、「体位変換」と「タミータイム(腹ばい運動)」になります。赤ちゃんの頭の一定箇所に圧力がかからないようにしていきます。月齢が高くなるほど、期待できる効果は薄いです(4ヶ月以上)
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頭蓋形状矯正ヘルメット治療
赤ちゃんの頭に合わせたヘルメットで、平坦化部分の成長を促します。効果は高いですが、自費診療になり、コストは高くなります。治療の開始が早いほど、治療期間は短くなります。
理学療法
体位変換
向き癖を改善することにより頭にかかる圧力を左右均等にすることが目的です。 下記のように向きが同一方向になっている際にはバランスよくなるように変えます。
- 寝る際の頭と足の方向をバランスよく多方向に変える
- 抱っこする腕、授乳の際の方向をバランスよく多方向に変える
- 話しかける方向をバランスよく多方向に変える
※うつ伏せ寝は呼吸ができなくなる可能性があるため、寝かせるときは必ず仰向け寝にします。
タミータイム(腹ばい運動)
赤ちゃんが起きているタイミングに、赤ちゃんをうつ伏せにして過ごす方法です。 頭、首、上半身の筋肉の発達を促進するため、一定箇所への圧力がかかることを防ぎます。
- お母さんの胸やお腹、膝の上に赤ちゃんをうつ伏せにすることから始め、慣れてきたらおもちゃや絵本で興味を引き、うつ伏せ運動を行います。
※窒息を回避するため、固いマットや床の上で、必ず保護者がみている環境下にて行ってください。
頭蓋形状矯正ヘルメット治療
頭蓋形状矯正ヘルメット治療の治療原理
ヘルメットを装着することで、図のようにゆがみ部分に空間をつくり成長を促進させます。 ※歯科矯正と異なり力を加えて変形させるわけではありません。
頭蓋形状矯正ヘルメット治療に使用するヘルメット

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3Dカメラで計測された頭のデータを元に、お一人おひとりの頭の形状に合ったヘルメットを設計・製造します。
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通気性向上のため大きな通気孔を設けています。赤ちゃんが長時間快適に装着できるよう、通気性を考え抜きました。
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クッションが簡単に着脱でき、ヘルメットは水洗い出来ます。クッションは洗濯機でネット使用の洗浄が可能で、清潔に保つことが出来ます。
ヘルメットの構造
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シェル
樹脂系の硬い素材で作られており、目標形状に誘導する役割。
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クッション
シェルと頭の緩衝材として機能し、肌トラブルを軽減する役割。簡単に着脱可能。
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バンド
ヘルメットを脱着する役割。基本的に、治療中は一定位置でバンドを止めます。突出部が成長したり、赤みが発生した際のサイズ調整や圧力調整弁としても機能します。
よくある質問
FAQ
頭の形が気になる場合、いつ頃受診するのが良いですか?
生後6ヶ月までを目安に、早めに受診することをおすすめします。軽度なゆがみであれば、成長とともに気にならなくなることもありますが、ゆがみが大きい場合は、自然に改善しない可能性もあります。
頭の形は自然に治りますか?
ゆがみの程度によります。軽度な場合は、成長とともに改善することもありますが、重度の場合は、自然に治りにくいと報告されています。
ヘルメット治療の開始時期はいつ頃が良いですか?
生後3~6ヶ月が良いとされています。しかし、赤ちゃんの状態や病院によって推奨時期は異なるため、専門医に相談することが大切です。
ヘルメット治療を必ずやらなくてはいけないのか不安です
必ず治療しなくてはいけないということは一切ありません。
治療が不要の方にははっきりとお伝えします。
治療費はどのくらいかかりますか?
頭のかたち外来での頭蓋形状矯正ヘルメット治療は自由診療です。費用は330,000円(税込)となります。
治療費用には、以下が含まれます。
- 3D撮影費用
- 頭蓋形状矯正ヘルメット「ベビーバンド3」
- 治療終了までの診察代
費用をお支払い後、3D撮影を行い、ヘルメットの作製に入ります。
尚、ヘルメットの交換や2個目については、以下の費用になります。
- 破損、紛失等によるヘルメットの交換:165,000円(税込)
- 治療延長希望等による2個目のヘルメットの作製:220,000円(税込)